新しいウイルスや細菌の登場で、手洗い・うがい・消毒の重要性が高まります。
今世間を騒がせている「新型コロナウイルス」では、マスクや既製品の消毒エタノールは既に売り切れになっています。
ですが、意外と盲点となっているのが、この無水エタノールです!
これを希釈すれば消毒用エタノールがすぐに調整することができます!ただ、調製には注意事項がありますので、それを説明しながら調整方法を紹介していきたいと思います!
新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)の感染対策はこちらの記事に掲載中です。
準備するもの
消毒用エタノールを作るにあたって準備するものがあります。それを下に記載しました。
- 無水エタノール
- 水 ( 蒸留水がベスト )
- 調製した消毒用エタノールを入れる容器
材料はたったの3つです!
無水エタノールはドラッグストアで販売されていますし、大型のホームセンター内のドラッグストア内でも販売されていますのですぐに見つけることができるでしょう。
また、無水エタノールはドラッグストアの外で他のものと一緒に買うことができるので、大型スーパーでは別々に購入する必要がありませんので楽です。
水については水道水には不純物が入っており、身体にとっては問題ないですが、 水道水でも構いませんが化学薬品などの調製には向かないので、できれば同じくドラッグストアで販売されている精製水か、スーパーマーケットの精製水製造機などを使って得られた精製水を用いたほうが良いです。また、不純物がないので精製水のほうが長期保存に適しています。
消毒用エタノールとは70~80%程度のエタノール濃度で調製されています。
この濃度である理由は一番消毒効果が高いためです。これより上の濃度だと徐々に消毒効果が薄れていきます。
消毒用エタノールを保存できる容器は?
あくまで、家庭用でのお話です。
インターネットでは、ポリエチレンテレフタラート(PET)の容器は消毒用エタノールに入れるのは不向きであると記載されている記事が多いです。
しかし、調べてみると影響はなく大丈夫なのでは?ということが分かってきました。
結論から申しますと、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)のどれでも消毒用エタノールの保存容器にすることができるということです。
ただ、PETにもグレードというものがあります。
アルコールには使用しないでと記載があるならばそれは、アルコールへの耐薬が確認されていないか、溶解してしまうとかで本当に使えないため書いているのです。
適切な容器としてはポリエチレン(PE)の容器が妥当だと考えています。
なぜならば販売元の健栄製薬株式会社が製造する無水エタノールがPEの容器に入っているだからです。一番信頼性が高いですね。

上記の画像のように無水エタノール容器の材質を確認するとボトルはPEとなっていますね。
なぜPET容器でもいいのか。
PETを消毒用エタノールの容器とした理由は2つあります。
まず1つ目は、「樹脂耐薬表」と、日本プラスチック工業連盟が示す「主なプラスチックの特性と用途」にアルコールに対する耐性があるためです。
下記の画像は樹脂耐薬表の抜粋画像です。

下記画像は日本プラスチック工業連盟が発表する「主なプラスチックの特性と用途」です。

詳しく確認したい方は下記からどうぞ
2つ目の理由としては、
調べてみると、ペットボトルから溶出される化学物質を測定し定量した実験結果があり、PETを用いているミネラルウォーターからですら、ジヒドロキシエチルテレフタル酸、ジメチルテレフタル酸などに似た新しい物質が溶出されることが分かりました。
その中でも新しく発見されたモノマー類のHECB酸の溶出濃度は 2 ng/ml しか溶出せず、推定被ばく量である 1.2 µg/day よりも10分の1の量しか溶出されないのです。
また、モノマー類の一日許容摂取量(TDI)は 0.1 ~ 1mg/bw kg/dayなので溶出量は十分低い量なのです。さらに、溶出に50%エタノールを用いた場合でも同等の値でした。
消毒用エタノールの濃度はこれらより30%程度高いですが、たとえ80%のエタノールが入っていたとしてもPETからの溶出量としては大差がでないということです。
また、溶出する物質の一つであるジメチルテレフタル酸は、ヒトでの経皮侵入の際の刺激作用はなく、悪影響はなかったという点からも問題ないのです。もちろん臓器や生殖にも影響がないことがラットやウサギの動物実験で確認されています。
ですので、基本的にはPETは使っても問題ないということです。
調製方法
調製方法に入りましょう。と言っても混ぜるだけですが。
100ml調製するのであれば 無水エタノール 80 ml と 精製水(水道水でも可) 20 ml を混合して容器に入れるだけです。
もし200 ml 調製したければ無水エタノール 160 ml と 精製水 40 ml でできます。
厳密には「76.9~81.4%」の濃度で調製すると消毒効果が一番大きいとされています。
ですが、今回は分かりやすく80%ぴったりで調製していきます。
調製の順番としては(100 ml 調製の例)

精製水を先に入れることで、無水エタノールを入れた時、自然に混和されます。
逆のステップを踏むと転倒混和する時間が長くなりますので、効率が悪いです。
ml 単位で調製したい場合もあると思いますので計算方法を記載しておきます。

まとめ
いかがでしたでしょうか。エタノールの調製方法と容器について書いてきました。
最近流行している新型コロナウイルスなどの対策にお役立てくださいませ。
ちなみに私が容器として用いているのもダイソーで購入したPET製の容器ですが、液漏れもなく、エタノールの揮発もなく、ちんと消毒効果は保たれています。
下の画像は消毒用エタノールを調製して7日経過後の画像です。(1カ月経過後も容器などは溶出していませんし、液漏れももちろんありません。)

ちなみに、同じ消毒効果を持つ次亜塩素酸ナトリウムもありますが、これは皮膚や手指、粘膜の消毒に対しては、刺激が強いため用いることは推奨されていません。
また、金属に次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合は腐食を招きますので、それには使わないようにしましょう。
次亜塩素酸を用いるのであれば、屋内環境の空気を消毒するために用いましょう。
コメント
勉強になりました。
今のウィルス騒動からのスプレー容器にしてもそうですがPETが使えるのか使えないのかその辺が本当に曖昧でどっちなんだ?という疑問しかなかったです。ここまで明確な記事は初めてみました。
たなかやまだ様
当ブログの記事を見て頂きありがとうございます!
そうですね、どっちつかずな記事が多いと私も思っていましたし、この際徹底的に調べ上げました。
職業柄や万人に見られるということもあり、どのような記事でもエビデンスを意識して書いております。
お役に立てたようで書いた甲斐がありました。
ありがとうございます。
誤字脱字は見つけ次第修正させていただきます。
あ、あと最後の方に脱字があったっぽいので訂正された方がいいかも。