今世界中で流行している新型肺炎のコロナウイルスですが、情報をまとめてみました。
感染対策については有効と思われる消毒方法や消毒する箇所およびどんなものに警戒するべきなのかまで紹介していきたいと思います。
このコロナウイルスはきちんと対策をすれば感染を防ぐことができます。ウイルスが収束するまで日本一体となって頑張っていきましょう。
コロナウイルスについて
まずコロナウイルスについて説明します。
世間でコロナウイルス、コロナウイルスと言われているのはウイルスの種類の中でもコロナウイルス科( Coronaviridae )という科の中のウイルスということです。
実際、コロナウイルス科の中には、
- SARS ( 重症急性呼吸器症候群:Severe Acute Respiratory Syndrome )
- MERS ( 中東呼吸器症候群:Middle East Respiratry Syndrome )
などを起こすウイルスが含まれています。
今回新しく発生した新型コロナウイルスはSARSやMERSとは異なっていたため新型と名図けられわけです。
2020/2/26のWHO世界保健機関により正式名称が決定し、新型コロナウイルス感染症に対して「COVID-19 ( coronavirus disease 2019 )」という名称が用いられています。
注意が一つあります。
「新型コロナウイルス感染症」の正式名称は「COVID-19」ですが、
「新型コロナウイルス」自体の名前は「SARS-CoV-2」という名称です。
混同して使用しないように注意しましょう。
SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の一般的性状

一般的性状としては、大きさは直径 80 ~ 160 nm の球形から多型性を示す、エンベロープを持つプラス鎖一本鎖RNAウイルスです。スパイクも持っています。
コロナ自体の名前の由来ですが、エンベロープから突出しているこのスパイクが太陽のコロナ( Corona )に似ているということから名づけられたようです。
コロナウイルス科の一般的な性状を記載しました。新型コロナウイルスもコロナウイスル属の特徴を満たしています。
以前に流行したSARSやMERSは現在第2類感染症に指定され、同時に検疫感染症としても指定されています。同様にSARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) も第2類感染症と同等の措置を取るべきと厚生労働省は発表しています。
SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の潜伏期間
潜伏期間ですが、多くの知見により2~14日とされているようです。
SARSの潜伏期間は2~10日で、MERSの潜伏期間は2~14日となっています。
同様に SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の潜伏期間も同じくらいの 2~14日と考えるのが妥当だと思います。
SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の感染経路
COVID-19 ( 新型コロナウイルス ) の詳細な感染経路については今だ不明のようですね。
何が発生源で何が宿主だったのかは今後調査は必要です。
今流行しているので、感染源よりも大事なのはどのようにうつるのか(感染様式・うつり方)で、このウイルスはコロナウイルス属に共通の「接触または飛沫感染」です。
あまり区別がつかない人のために、少し説明を入れます。
接触感染とは、直接と間接に分けられるが、感染している人と直接接触することによって感染が広がることと、感染物質が付着した物体の表面に触れること(接触)によっても感染が成立することを言います。
飛沫感染とは、咳やくしゃみなどの飛沫物に感染物質が含まれていて、それが飛沫することにより感染が広がることです。
咳やくしゃみなどが届く2mの範囲内にいる場合はこの感染方法に注意しなければいけませんし、
咳やくしゃみなどの症状がある人がその場にいなくても、その時点よりも前に咳やくしゃみをしている人がいたならばその飛沫物は付近の物質に付着していますので、それを別の人が触れば同時に接触感染が成立します。
このように飛沫感染と接触感染はほぼ同時に起こるのです。そのため、接触と飛沫感染を徹底的に防御していかなければ感染を防ぐことは難しいのです。
後述する感染対策で具体的にその方法を説明していきます。
SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の検査方法
今盛んに行われているPCR ( 核酸増殖:Polymarease Chain Reaction ) 検査ですが、正確には Real time-PCR ( リアルタイムPCR ) という検査です。この検査は新型コロナウイルスに特徴的なスパイクの遺伝子を標的にして増幅させ、標的の遺伝子があれば蛍光を発して検出してくれる検査装置のことです。
標的の遺伝子ですが、「SARS-CoV-2」というスパイクの遺伝子を標的にしているようですね。このウイルスを特徴づけるものですからコロナウイルス自体の名前に用いられているわけです。
蛍光が検出されたら「陽性」となります。
詳細は下記サイトから検査キットの内容が見れます。
しかも面白いことにSARSの文字が使われているようにこのスパイクの遺伝子(DNAの塩基配列)がSARSのものと79.5%一致しているとのことです1, 2)。
ということはSARSと同じ感染様式ということが示唆できます。
SARSは肺胞にあるアンギオテンシンⅡ変換酵素受容体 ( ACE2R ) を介して細胞内に侵入しますので、SARS-CoV-2も同じ感染方法を取るのではないかと考えらえています。
また、検査陽性者の血液生化学検査のほぼ全例でCD4陽性Tリンパ球およびCD8陽性Tリンパ球が進行性に減少し、特に CD4陽性Tリンパ球はかなり低値になっているようですね3)。
CD4というのは抗体産生に関わるTリンパ球の細胞膜に出現している糖タンパク質ですが、それを介して細胞内に侵入していることを表しています。
CD4陽性Tリンパ球は外敵からの攻撃に対して免疫する重要な役割を果たしていますが、それに感染された細胞は死滅してしまいますので、正常な免疫機能が果たせなくなってしまいます。
なので、基礎疾患を持つ人やただでさえ免疫の低下している高齢者などが亡くなるのは納得です。
CD4陽性Tリンパ球を介して細胞に侵入するのは今発見されているウイルスの中では2種類だけです。
それはレトロウイルス属のエイズの原因ウイルスであるHIV( ヒト免疫不全ウイルス ) と、HTLV-1 ( ヒト成人T細胞白血病ウイルス )です。
HTLV-1は白血病なので今回は違いますので省きます。
SARS-CoV-2はSARSとHIVの2つの特徴的なスパイクも持ち合わせたウイルスということが分かりますね。
ただ、主症状は報道されている通りあくまでも肺炎がメインですね。
SARS-CoV-2のリアルタイムPCR検査は、鼻咽頭拭い液や喀痰から採取した検体では発症後0~3日で陽性率が高いため、症状があれば検査を受けるのが望ましいとされています。ただ現状はされていないことが多いようですが。発症後10日を過ぎると陽性率が低下していきます4)。
SARS-CoV-2 ( 新型コロナウイルス ) の感染を防ぐには(感染予防)
既に様々な対策方法が報道されていますがどれも正しいです。ニュースの情報に則って対策してください。
エタノール消毒は当然ですが消毒仕方をきちんとすることと、品薄でもう消毒用エタノールが切れているかたには別の方法がありますので、それらの方法を紹介していきます。
またSARS-CoV-2のようなエンベロープを持つウイルスに有効な消毒薬を紹介します。

空間除菌・除ウイルスが効果的
家の中が一番、接触感染・飛沫感染のリスクが高いことは容易に想像つくと思います。ということは何よりもまず家の中を消毒しないといけませんね。
そこで大切なのは玄関と、普段家族みんなが集う居間やリビングに設置しておくということです。
下の画像に空間除菌用の製品があります。脱脂綿やガーゼも一緒に写ってますが気にしないでください。


それらはドアノブなどの消毒やマスクで後々使うものです。
空間を消毒しておくと後々の接触・飛沫感染を防ぐための助けになります。SARS-CoV-2がいつまで蔓延するかわかりませんから置いておいて損はないと思います。
1個買っておけば1~2か月は効果を発揮しますのでお勧めですよ。
ただ、注意しなければいけないことがあります。
この空間消毒に用いられている成分はハイターなどにも含まれている「次亜塩素酸ナトリウム」なんですが、金属腐食作用がありますので、金属への使用は避けるようにしてくださいね。
消毒用エタノールはたっぷり使いましょう。
消毒用エタノールは76.9~81.4%の濃度での消毒効果が一番大きいです。
調製方法はこちらの記事で紹介していますので、ご覧ください。
エタノールが消毒効果を発揮する時はいつだか、知っていますか?
それは「エタノールが揮発するとき」に消毒効果を発揮するんです。つまり、量を少なくしても手もみしている間に揮発してしまって、消毒されない部分が出てきてしまいます。
そうならないためには手がエタノールで濡れても少しの間乾かない状態を作ってあげる事が重要です。
だから「消毒用エタノールはたっぷり使いましょう」ということです。
消毒用エタノールがまだ残っている方は是非実施しましょう。
エタノールが無くなってしまったら石鹸での手洗いを入念に
今日ニュースで報道していたのですが、入念に手を洗う6つの方法が紹介されていた方法ですが、手術前に医師の方はやっていることでですね。

出典: https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/life/26859/
この図に沿ってやっていきましょう。
家や職場に着いたら何よりもまず手洗いです。それまでは極力何も触らずにしましょう。
SARS-CoV-2は接触・飛沫感染ですから、まず触れないことが大事です。手洗いを済ませたらすぐにたっぷりの消毒用エタノールでエタノール消毒をしましょう。
口腔粘膜の消毒にはポピドンヨードが効果的
手指消毒が終わったら次は口の中を消毒しましょう。
ポピドンヨードと言ってわかる方がどれくらいいるかわかりませんが、うがい薬でよく使われていますとね。
カバの親子がうがいしているあの商品です。「イソ〇ン」です。この商品は一般細菌やウイルス ( エンベロープを持つ物も持たない物の両方 ) に有効なんです。
手指消毒にももちろん用いることはできますが、匂いが残るのと色がうがい薬色に変わるのであまりしたくないですよね。
ポピドンヨードも金属腐食作用がありますので金属には使わないようにしましょう。
余談
下記の消毒薬についてですが、
- グルコン酸クロルヘキシジン
- クレゾール石鹸
- 塩化ベンザルコニウム
などはエンベロープを持つウイルスに対する消毒効果が低いことがあるのでおすすめはしません。
さらにエンベロープを持たないウイルスに対してはこれらの消毒薬の消毒効果はありません。効果があるのは主に一般細菌に対してです。
外出時は物に極力触らない!
外出時も接触・飛沫感染のリスクはありますね。
ウイルスをもらわないためには必要以上に物には触らないということです。たとえば
- ドアノブ
- 電車内のつり革
- 咳やくしゃみをしている人から 2m 以上離れ、近寄らない
- 品定めや何かを見るときも極力触らないこと
- 自宅にいても症状がある場合は、できるだけその人専用のものを設けて使用していく
- 外でマスクをしている時は、鼻や目を触らずマスクのオモテ面には触らず紐の部分を持つ
その他手が触るところは注意が必要です。
さらに触った後はそこをエタノール消毒するのが望ましいですね。これは自分がもし感染していて不顕性感染状態のときにも次の人に接触感染させてしまうことを防ぐためです。
また、コロナウイルスにも潜伏期間がありますので、外出した際はその日を記憶しておくということも大事です。もしも発症した時、いつどこで感染したのかを検討をつけることができます。
そして、何よりも大事なのは、熱などの症状が出たら不用意に病院には行かず2,3日家に引きこもり周囲との接触を避ける事です。
まずは「花粉症のせい」か「風邪」か「細菌性」かを軽く見極めましょう。プライマリーヘルスケアが重要です。
- 花粉症 ー サラサラした鼻水。ヒトにもよるが眼の痒みがある。熱は出ない。
- 風邪 ー ネバネバ(粘液性)した鼻水で、黄色や緑色をしている。
- 細菌性 ー 風邪同様
ただの風邪ならそのくらい経てば回復に向かうだろうし、コロナウイルスかインフルエンザかそれ以外のウイルスかもっていうのはそこから考えるべきことです。
マスクを節約しよう!
ここからはエビデンスはありませんので参考程度に留めておいてくださいね。
マスクも今の時期は売り切れが続出していますね。変えても一人一枚などかなり厳しい状況です。
そんな時役に立つのがティッシュや滅菌ガーゼです!
マスクの内側に挟むことで皮膚との接触が無くなり、マスクを長持ちさせることができるのではないでしょうか。
Real time-PCR 以外で何かわかることはないか?
あとは検査に関してですが、Real time-PCR をしないで普通の血液検査でわかる方法はないのでしょうかね?
既にインフルエンザの治療薬やHIVの治療薬で効果が見られているようですが他にもいろいろ試してみるのもいいのではないかと思うのです。
たとえば、
新型コロナウイルスが アンギオテンシン変換酵素2受容体(ACE2R)を介して細胞に侵入することはわかっているので
- ACE2の活性を測定してそれを判断材料にする
- ACE2の阻害剤を使って細胞の侵入を抑える
- サルコイドーシスでも上昇する尿中sIL-2R(可溶性IL-2受容体)を測定する。
- レニンーアンギオテンシンーアルドステロン系に関与するホルモンや項目を測定する
など、サルコイドーシスにかかっていなければわかるのではないか。サルコイドーシス以外に sIL-2Rが上昇する病態を知らないので何とも言えませんが。知識が足りません。
兎に角、一刻も早くCOVID-19を収束させるために日本全体でやっていかなくてはなりませんね。
参考文献・資料
- 最新臨床検査学講座 臨床微生物学
- ワンポイントウイルス学
1) https://doi.org/10.1101/2020.01.22.914952
Discovery of a novel coronavirus associated with the recent pneumonia outbreak in humans and its potential bat origin
2) https://www.abcam.co.jp/content/information-and-products-associated-with-novel-coronavirus-research
3) Pathological findings of COVID-19 associated with acute respiratory distress syndrome
4) バイオテロ対応HP:厚生労働省研究班 https://h-crisis.niph.go.jp/bt/disease/10summary/10detail/